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歯を削った後にしみるのはなぜ?

みなさんこんにちは。

歯科衛生士の蜷木です。

今日はむし歯の治療後にシミるのはなぜかについてのブログです。

象牙質まで進んだむし歯を治療する際、さいわい神経を取らずにすんだ歯に、治療後冷たい物がシミる違和感がある、強く噛むと痛いなどの症状が出ることがあります。

治療自体はうまくいってるのにシミてしまうわけをお話しするには、まず象牙質の構造の説明が必要です。

健康な歯は硬いエナメル質で覆われています。

ところがエナメル質に穴があくと、むき出しになった象牙質に加わるさまざまな刺激が神経に伝わるようになってしまいます。

ところで象牙質への刺激がそのまま神経にまで伝わってしまうのはなぜなのでしょうか?

じつは象牙質は細いチューブを寄せ集めたような構造をしていて、その象牙質のチューブの中を

神経(象牙芽細胞)から伸びる細長い神経組織が通っています。

つまり、象牙質がむき出しになるということは「神経がむき出しになるのとほとんど同じこと」なのです。

治療後にシミるという症状も、やはりこうした構造が影響しています。

むし歯を治療するには、細菌に汚染された象牙質を削って取り除きますが、

じつはこのときチューブを通る細い神経組織の末端もいっしょに切り取らざるを得ません。

むし歯の治療とは、生体を切除するいわば外科処置。

治療後にしばらくシミるのはこういうわけです。

また、細菌がチューブから神経へと入り込んでいる場合、生体が炎症を抑え込むまで軽い違和感があります。

しかしよくしたもので刺激が神経に伝わり続けると、歯は刺激をシャットダウンするために、

二次象牙質という防御機構を作り上げます。

これには3ヶ月ほどかかりますが二次象牙質が

できると完全に症状が消え、新たに神経を取る

治療を追加しなくても、様子を見ているうちに

症状が消えてしまうことがほとんどです。

できる限り神経を保存し歯を長く使い続けるために歯科医師といっしょに、しばらく様子を見ていただければと思います。

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